上海ビギナーに贈る、ガイドブックや旅行パンフが伝えない上海の主要観光地の最新真実!
こんにちは、上海ナビです。
さまざまなメディアから海外の情報が簡単に入手できる昨今。でも、それでも「行ってみたら想像と違った」と思うことの方が多いのはなぜなのでしょうか。上海にも上海未体験の日本人が誤解している観光地があるのかもしれません。ということで今回ナビは、旅行会社の広告、ガイドブックの紹介文などを再チェック。上海旅行を計画中の皆さんが誤解していそうな市内のあれこれについてまとめてみました!
1、上海駅近くのホテルは不便
高速鉄道や寝台列車に乗る旅でなければ、駅近ホテルは意味のない選択
日本では「繁華街=駅の近くにある」ですが、鉄道の駅が市中心から離れた構造の街・上海では、駅前ホテルを予約してしまうと大変なことになります。特に安いツアーなどでは、上海市内きっての秘境エリア「上海駅北口」のホテルになることも。広告に「駅近ホテル」などと書かれていると安心して予約しちゃうはず! ナビの友人も何も知らずに駅北口ホテルを予約していたことが。迎えに行くのも、お勧めのお店に連れて行くのも正直かなり大変でした。空港から一本で行ける地下鉄の路線もありません。
上海駅南口広場。出稼ぎ風の人が目立ちます。地元上海人いわく、「治安があまりよくないエリア」
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秘境・上海駅北口。ホリディインエクスプレスは日本人の利用が多いようですが、予約前に立地を見て〜!
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観光メインのホテル選びなら、外灘、新天地、南京西路など、観光エリア内のホテルが断然お勧め。口コミ評価の高いホテルは観光地に集まっています! 移動も便利です。「上海駅周辺ではなく、観光エリアのホテルに泊まる!」が、上海でのホテル探しの基本。上海駅に近いホテルは、上海観光ではなく鉄道を利用した中国旅行メインの方にお勧めします。ただし、最近は上海虹橋駅発の列車も増えているのでさらに注意が必要です。
2、「外灘」は歴史建築がメイン
陸家嘴エリアの写真です
「外灘」といえば、ガイドブックの巻頭写真などでも出てくるのはテレビ塔「東方明珠塔」と超高層ビルが林立する川沿いの風景ですよね。でもこれは「外灘の写真」ではなく、「外灘から見た陸家嘴の写真」です。陸家嘴側の風景のインパクトがどうしても強いので、ツアーなどでさらっと訪れた方はテレビ塔側の写真しか撮らないことが多いよう。でも、「外灘」のメインは浦西側。写真を撮っている皆さんの背後にある歴史建築群です。
歴史建築内のレストラン、バー、ホテル、ギャラリーなどにも入ってみて
建築群の歴史や建築様式、それぞれの建物に入っている施設などをぜひ知って帰って下さい。意外と個々のツボに入るお店、上海の隠れた歴史がそのまま残っている風景などに出会えます。「川沿いで写真撮っただけ」で帰るのはもったいない場所なんですよ。
3、「南京東路」は観光客向けストリート
にぎやかな繁華街ではあるのですが
「上海の目抜き通り」「メインストリート」「上海の銀座」などと紹介されることが多い「南京東路」。にぎやかなストリートであることは間違っていないのですが、でも、地元のおしゃれな人がショッピングに来たり、友達とお茶やお酒を飲みにくる街ではありません。集まっているのは8割が上海旅行に来た国内外の観光客。2割が、老舗の商品や味を求めてくる地元の中高年です。国営店が多いので、夜も早めに閉店するお店がほとんど。遅くまで飲めるお店もあまり見つかりません。
目立つのは地方からやってきた団体旅行者
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中高年人気の高い老舗が多い街です
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小吃の行列店で食べ歩きを楽しむのもあり
「南京東路」の見どころは、「国営店、老舗店、おのぼりさん」です。漢方薬局を見たい、墨や筆などの文房四宝を老舗で買いたい、昔ながらの食品店で調味料を買いたいなどの目的を持って行くと充実の時間を過ごせるハズ。上級者なら、「中国の地方から出て来たばかりの人ウォッチング」で楽しむのはいかがでしょうか。最先端の街ではないことは確か。でも、今建設中の「大丸」がオープンしたらちょっと変わるのかな(2014年9月現在)。
4、地元の人にとっては、「城隍廟」>「豫園」
豫園商城はいつも賑わっていますが……
2010年に地下鉄10号線「豫園」駅ができてからはちょっと変わってきましたが、それでも豫園界隈全体のことを「城隍廟」と呼ぶ上海人は多いです。「豫園」は庭園ですが、「城隍廟」は道教のお寺。地元の人からすれば、庭園散策よりもお参りをしに行くことのほうが断然多いからかも。一方で日本人観光客は、「城隍廟」の存在すら知らずに帰ってしまう人がほとんどです。ちなみに、「豫園商城」のことを「豫園」と呼ぶ人が多いですが、「豫園」は「豫園商城」内の庭園の名前です。
商売繁盛にご利益のある道教寺院です
「城隍廟」は「豫園商城」の南側、方浜中路沿いにあるお寺です。入り口はこじんまりしていますがけっこう奥が深く、中には精進面料理のお店も。道教ならではの塑像も見どころです。今の上海の発展があるのは、風水的に最強の位置に「城隍廟」があったからだという都市伝説もあるんですよ。金運、仕事運を良くしたい方はスルーせずに立ち寄ってみて。
熱心にお参りする地元の人
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道教ならではの塑像があります
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5、「衡山路」=ナイトスポット!?
かつて賑わっていたこのアーケード。8割の飲食店が撤退しました。スタバさえも閉店しちゃった
1990年代からナイトスポットが集まるエリア、バーストリートと呼ばれ続けて来た衡山路。確かに当時はおしゃれなバーが点在し、地元の若者たちや在住外国人がたくさん集まっていました。でも2014年現在、じっくり歩いてみるとお店が激減中です。テナント募集中の空き店舗も多く、永嘉路との交差点付近にそれほどおしゃれとは言えないローカルバーがちょこっとあるのみ。「ナイトスポット」の表記を変えていないガイドブックを見て来た方は、「こんなハズじゃ……」と立ち尽くすかもしれません。
が、衡山路に交わる東平路と、東平路の東側に交わる岳陽路周辺には最近いいお店が増加。遅くまで賑わっているお店もたくさんあります。ちょっと歩きますが、北側の復興西路と永福路交差点周辺、東側の永康路と襄陽南路交差点エリアもにぎやか。「衡山路は今のところナイトスポットではないけど、周辺には新たなバーストリートが増えている(2014年現在)」と覚えておいて。
2014年現在賑わっているのは永康路!
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復興西路、永福路周辺も人気バーが点在
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※かつては銅仁路、茂名南路もバーストリートとして有名でしたが今は……。上海の若い子たちが集まる場所は5〜6年のサイクルで変化するようです |
夜の上海を満喫したい方はこちらの記事を。
6、「呉江路」は上海人向けグルメストリート
外資系チェーン店が大半を占めるグルメ街です
2000年代半ばまでは、上海らしい屋台街として旅行者に大人気だった「呉江路」。その名残で「上海有数の食べ歩きストリート」と紹介しているメディアが多いのですが、実際に来てみると目に入る看板は「一風堂」「洋麺屋 五右衛門」「元気寿司」「スターバックス」「サブウェイ」「たこ焼き くくる」「和民」……。「上海に来てまで?」と思うお店ばかり並んでいて、またもや立ち尽くしてしまうハズ。
「呉江路」は、観光客ではなく若い上海人のニーズに応えたグルメ街だと言えます(外資系チェーンが大人気なのです)。ただ、「小楊生煎」「LILLIAN BAKERY」「甜蜜蜜」など、昔から呉江路にあって、今も変わらない人気を得ているお店はちゃんと残っています(移転してきれいに改装されてはいますが)。そんなお店を目当てに歩いてみてはいかがでしょうか。
上海らしい屋台街であれこれ味見したい方は「呉江路」ではなくこちらへ。
7、黄浦江クルーズはUターンして戻ってくる
人気アクティビティです
旅行のツアーパンフにもガイドブックにも必ず載っている夜景クルーズ。でも、ルートを知らずになんとなく乗船していませんか? 知らなくてもすごく困ることはないのですが、でも知っていればよりのんびりクルーズを満喫できるんです。
このクルーズは黄浦江という川を進むのですが、乗船地点と下船地点は同じ。川の北側に着いたらUターンして戻ってくるルートで進みます。これを知らないと、川の西岸と東岸に見える異なる風景を見たい、撮りたい! と思って、出発後しばらく船の中を左右行ったり来たりすることに。混み合っていると、移動した時点でさっきまで座っていた窓際席を取られてしまうことも。でも、ルートはUターン。初めから終わりまで船の片側に座っていればすべての風景を見られるんです。そして座るなら進行方向の右側へ。船は右側通行なので、より近い夜景を撮影できます。
8、リニアモーターカーは時間帯によって最高速度を出さない
空港まで最速で行けるリニアモーターカー
上海は世界で唯一リニアモーターカーが商業的に走っている街です。時速430kmを体験してみたいという方は多いのではないでしょうか。でも、「実際乗ったけど、430kmも出てなかった。期待ハズレ! 最高速度の表示はウソなんじゃない?」なんていう感想を聞くことも……。
あまり紹介されていませんが、最高時速430kmを体験するなら、9:00〜10:45、15:00〜15:45のどちらかの時間帯に乗る必要があります。その時間外に乗る場合は期待はずれになります。それと、上海での英語名は「Maglev(マグレブ)」。「Linear motor car」では通じないようですのでご注意を。
午前9時台。この日は431km出てました
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詳しく知りたい方は駅掲示の時刻表をチェック
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9、スポット名=その周辺のだいたいの地名
公園内ではないけど、ここは「中山公園」
たとえば日本で、「どこに住んでるの?」と聞いて「○×公園」と返されたら、「公園で寝泊まりしてるのかしら」と思いますよね? でも上海では、在住日本人の間でも「うちは中山公園です」「最近長風公園に引っ越しました」などの会話が普通なのです。
なにかスポット名が会話に出てきたら、上海では日本人同士の会話であっても「その周辺」だと思う必要があります。「上海支社のオフィス」や「お勧めレストラン」が「静安寺にある」と聞いても、寺の境内にあるわけではありません。「古北に住んでる」=「古北路に住んでる」ではなく、水城路に住んでいることも多々あります。上海の事情がわからない方は混乱するため、『上海ナビ』の各地名表記は、「中山公園エリア」「静安寺エリア」「古北・水城路エリア」などの表現にしてあります。
範囲が広ーい「人民広場」。「そのお店、人民広場にあるよ」と言われると、探すのは大変
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「静安寺」も南は巨鹿路あたりまで範囲内かも。南京西路と静安寺エリアの区切りもあいまい
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10、避暑地がない
写真はとても涼しそうです
山がちな国土の日本では、都市部から1〜2時間山側の郊外に行くと夏でも涼しかったりします。でも上海周辺は、黄山のある安徽省くらいまで平坦な地形。写真で見ると涼しげな世界遺産「西湖」も、真夏に行くと都市部以上の暑さと湿度にびっくりするハズです。「夏は上海郊外の旅へ」と言われても、そこに涼しさはありません。
でも、冬は冬でとびきり寒い上海郊外。人気の蘇州、杭州は、「夏は上海より暑い、冬は上海より寒い」と思ってお出かけを。どっちもイヤな方は、過ごしやすい季節・春か秋に、連休を避けて出かけることをお勧めします。
この記事も誤解対策に
知っておけば一目置かれる上海のコツ、ぜひ一読を。
初めての上海旅行で観光地に行くなら、「シャッター押して」の声がけに注意です。
いろいろあって誤解されている上海と上海人。実際に来て、良さを知ってほしいな。
いかがでしたか? 上海は世界でも特に変化の激しい街だと言えます。たとえば、「上海に住んでいたことがある情報通」や「日本在住の上海人」からの旅情報、お勧め店などは、住んでいたのが2〜3年前なら要再検索です。変化への対応と、地元の人目線になること、街の成り立ちと歴史を知っておくこと。この3つが誤解なく上海を楽しめるポイントなのではないでしょうか。でも、知らずに行ってびっくりするのも思い出にはなるハズ。構えずに街歩きを楽しんでみてくださいね。
以上、上海ナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2014-10-02