留園 (蘇州)

リィウユェンThe Lingering Garden

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蘇州第2の規模を誇る“世界遺産&中国四大庭園”の1つ。清代の代表的個人庭園で山水の美を味わおう!

こんにちは、上海ナビです。“水と庭園の街” 蘇州から、今回は 「拙政園」 と並び蘇州庭園観光の双璧をなす 「留園」 へとご案内しましょう。「拙政園」 と 「留園」 は共に “中国四大庭園の1つ” として、また “世界文化遺産”として有名なんですが、「拙政園」 は明代、「留園」 はその後に続く清代個人庭園の代表傑作とも言われています。その敷地面積は約23,300平方m、「拙政園」 に次いで蘇州で2番目の広さですが、のんびり鑑賞しても所要時間は1時間もあれば十分!

<留園の歴史>
清代庭園の代表とされていますが、歴史をさらに遡ると元は今から約500年前、明代万歴年間に造園された徐泰時(シュー タイシー)の個人庭園 「東園」 がその始まり。庭園の中部にある池やその西手にある築山などは当時から受継がれているそうですよ。
徐泰時の死後、一時はこの 「東園」 も荒廃したのですが、清代末の1794年になって劉恕の手により拡張改築され、名称も 「寒碧山荘」、俗に 「劉園」 と呼ばれるようになりました。その後もさらに持ち主の変遷を繰り返し、光緒二年 (1876年) に改築された後には、庭園名も以前の名前 (劉=リィウ) から読みをそのままに、漢字は簡素化し「留園」と改められたそうな。

「留園」 の入り口は “留園路” 沿いの北側に位置し、看板も出ているので簡単に見つけられます。入園券は入り口右手のチケット売り場で購入しましょう。
中に入ると、“呉下名園 (=蘇州周辺地域の名園)” という文字のもと、全体の意匠図のようなものが描かれています。なお、入園券の裏側に園内地図と建物の名称が書かれているので、これをチェックしながら進むといいですよ。
庭園内は大きく分けて東/西/北/中の4パートに分かれ、それぞれ異なる顔を見せてくれると言われています。最も効率的に周れそうな、東 ⇒ 北 ⇒ 中 ⇒ 北の順にご紹介していきましょう。

~ 1. 庭園東部 <住居建築のエリア> ~

入り口からそのまま直進すると、すぐ左手で韓国人のツアーガイドさんがここで何やら熱心に説明しています。一見、何のことはないただの樹じゃありませんか?

★ 古木交柯
と、こちらは意外にも留園18景の1つだとか。柏の樹と雲南山茶のみが植えられただけという簡素な空間には、伝統中国画の技法が用いられているんですって。その極意とは、簡素な空間でありながら何とも上品な趣が再現されるというもの。なるほどー!
そのまま先へと十数m続く 「曲渓楼」 内を歩いていきます。左脇に見える小窓の風景が次第に華やかになってきた所で、先を歩いていた中国人のおばあさん達はハイライト(?)の中部庭園へと抜けていきました。この回廊が割りと淡白なんですが、「西楼」 を越えた先の右手にやっと1つ目の大型建築を見つけました。

★ 五峰仙館
向かいに立派な築山の庭園を控え、幾重にも扉を持つ平屋建ての建築物が静かに姿を現しました。この五峰仙館は園内で最も大きい広間だそうで、梁や柱、調度品などに楠が使われていることから 「楠庁」 とも呼ばれています。
豪華で広々とした空間は左右対称の空間構成が取られ、中国古典庭園に見る庁堂の典型スタイル、かつ江南式庁堂の代表格!明るい風格を持った清々しい空間に感じます。
五峰仙館からさらに奥へ進むと、かつて庭園の持ち主が読書や書道をたしなむ間として使われた 「揖峰軒」 や 「還読我書斎」 などがあります。この 「還読我書斎」 に当たる部分は今では骨董類のギャラリーになっているんですよ。興味があればこちらもどうぞ!

★ 冠雲峰、冠雲亭、冠雲堂
さて、東部の一番奥地にあるウワサのノッポな太湖石(たいこせき)を見に行ってみましょう。太湖石とは蘇州の西は太湖周辺から切り出される石灰岩で、有名な庭園ではよく見られる大変貴重な石なんだそう。留園ハイライトの1つですね!
いよいよ登場しました。このニョキッと立ちはだかる 「冠雲峰」 が高さ6.5mの園内で最も有名な太湖石。池の北側に “冠雲”、“瑞雲”、“岫雲” と並んで立ち、留園内でも有名な姉妹三峰とされています。また、写真にはありませんが、この池の南側に建つ 「林泉奢碩之館」 も留園内でも著名な建築物の1つなんです。
冠雲峰の北側には六角形の小亭 「冠雲亭」、さらに今や茶館として利用されている 「冠雲堂」 があります。中では地元の人か旅行者か、中国人客がお茶を飲み飲み世間話に花を咲かせていました。

~ 2. 庭園北部 <田園の趣エリア> ~

先ほどの 「冠雲堂」 前を抜けつつ、引き続き北部エリアに入っていきましょう。この北部エリアは、田園の赴きが広がる空間だと聞いたことがあるんですが、いったいどんな田園なのかが気になります。
 
石畳の道を歩くと、左右には緑が広がります。笹の葉もサラサラと風に揺れ、先ほどまでの少し薄暗い回廊から一変、気持ちいい散策道になりました。
中には樹齢100年以上の木々も立ち並んでいます。ちゃんと看板も付けられて、すごく偉い樹のように見えます。そんな木々を見ると 「へー、凄いね」 と思いがちですが、留園の歴史はそれ以上だと言うこともお忘れなく。
お次は盆栽園が広がります。ひたすら、盆栽、盆栽…。途中で意味深な建物も登場するのですが、特に脚注も無く終わってしまいます。この建物も、よく見ると六角形の窓が可愛い左右対称型です。
ということで、この庭園北部のいわゆる田園エリアというものは、盆栽園であった!盆栽への造詣がゼロのナビには、歩いて通り過ぎただけのエリアになってしまいました。修行が足りんなー。

~ 3. 庭園西部 <山林の趣エリア> ~

盆栽エリアを通過したら、庭園の西側へ到着。
この西部は山林の趣を表現したエリアということだそうで、のっけから岩山ハイキングの様相を呈しています。
ちょうど前方に日本人の団体旅行客の方々もいらっしゃいました。本日の留園内では、日本人/韓国人旅行客との遭遇率が高いです。やはり蘇州観光にはマストな場所なんですね。
岩山を登ると言っても、ほんの少し登るともう山頂です。山頂近くには 「至楽亭」 などの小亭が建っています。北側を見ると、先程の盆栽園も見えますよ。
山頂に来たかと思うと、既に下りに差し掛かりました。ここを下ると左手に 「活溌溌地」という簡素ながら風情のある建物が見えてきました。秋には周囲の木々が紅葉し、この景色に色を添えてくれるそうですよ。

~ 4. 庭園中部 <山水の趣エリア> ~

「活溌溌地」前を抜けてようやく辿り着いた庭園中部は、池を中心に楼閣や築山が広がり“山水を表現した” という言葉がまさにぴったり。まずは、この中部エリアで主格を成す建築物 「涵碧山房」 から見ていくことに。

★ 涵碧山房
池の南に堂々と構える 「涵碧山房」 は、別名を 「荷花庁」 とも呼ぶんだそう。天井も高く、窓も大きくとられているので、スッキリした佇まい。その中に木々や池の緑が美しく溶け込んで、一体感のある景色を生み出している気がします。
「涵碧山房」 の向かいに広がる池の端では、皆さん熱心に記念写真を撮影しています。が、そんなことには目もくれず、ひょいと腰を掛けたら世間話をスタートさせる奥様方も。
「涵碧山房」 から池の方向を見た左手には、また築山が見えています。ここを登って通り抜けながら、池の北側に足を伸ばしてみるとしましょう。途中には 「聞木犀香軒」 という、庭園中部で最も高い位置に建つ建物も見えます。
池の北側に建つ小亭 「可亭」 の傍から先ほどの 「涵碧山房」 を眺めていると、あらっ?と気になることが…。

★ 明瑟楼
その、気になった建物が 「涵碧山房」 の脇に建つ建物「明瑟楼」。これを遠くから眺めると、船の形のように見えるんです。最近、明清時代の庭園に行くとかなりの確立で船の形を模した建物に遭遇するので、やや敏感 (マニア?) になりつつある最近のナビ。
その疑問を解決しよう!と、もう一度この建物の場所まで戻ってきました。内部に入ると、やはり説明書きには 「恰航(つまり、船!)」 と書いてあるではないですか!しかし、位置的には 「明瑟楼」 なのに中に入ると 「恰航」 とあるので、少し混乱中のナビです。この疑問を誰か解明してくださ~い!

 ★ 濠濮亭
池に掛かる小橋からは、「濠濮亭」 という瀟洒な建物も。水面に建てられているんですが、この池に立つ “印月” にお気づきでしょうか?これを見て、杭州十景にある “三潭印月” (一元札の裏側にも絵があります) を思い出したナビ。
後で説明を見てみると、「濠濮亭」 のこの池に立つ “印月” が水辺に映ることで、月夜でなくとも水面に月が映っているように見える効果があるそうな。“印月” の用途は杭州十景と微妙に違うかもしれませんが、西湖十景の親戚を発見した気分です。

★ 緑陰
最後の最後に、冒頭でご紹介した入り口近くの 「古木交柯」 近くにある地味な建物 「緑陰」 を覗いてみました。明代詩人の詩から名付けられた小さな空間は、係員のおじさんに手入れされた鮮やかな花で今日も彩られます。

~さて、出口へ向かいましょう~

「涵碧山房」 や 「明瑟楼」 の南側に出口案内の看板が出てきました。出口の手前は、この庭園の資料館になっています。ここはナビ、さらっとスルー…。さらに、資料館を抜けると土産物店が続き、再びスタート地点の “留園路” へと戻ってくることができました。
様々に意匠を凝らした建築物に築山に、これで木々の緑も加わったらさらに豊かな情景が広がるに違いなし!春から秋にかけてが、一番の自然美を堪能できるシーズンかもしれませんね。
今回は詳しくご紹介しませんでしたが、建物の各所に施される透かし彫りの数々や、廊壁に彫られた 『留園法帖』 (歴代書家による書) も有名なんですよ。こうした奥深さに触れる鑑賞法もオススメです。
ナビの留園体験は以上です。
皆さんも蘇州観光の折には、日本とはまた趣を異にするこの中国の庭園芸術に触れ、中国古来からの美意識を感じ取ってきてくださいね。

記事登録日:2008-01-23

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2008-01-23

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女性 男性

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