中国の悠久の歴史を伝える文化財13万点を展示! 人民広場内の大型博物館で貴重な文物を鑑賞しよう。
こんにちは、上海ナビです。
中国といえば、真っ先に歴史や古代文明、美術品などを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。それらの貴重な文物を余すことなく展示しているのが、今日ご紹介する「上海博物館」です。国の重要文化財に指定されている文物だけでなんと13万点も収蔵する巨大博物館なんですよ。全部をじっくり鑑賞しているとあっという間に半日たってしまうほど。しかも入場は無料なんです! 早速出かけてみることにしましょう。
※2016〜2020年、一部改修工事が行なわれています。展示フロアなどが移動していることがありますのでご注意下さい(2016年1月追記)
「上海博物館」に行こう!
「上海博物館」があるのは、上海の中心に位置する地下鉄1、2、8号線「人民広場」駅エリア。駅からの行き方はこんな感じです。
円形に取っ手がついたようなこの建物の形は、古代中国の宇宙観を表現しているのだそう。「天円地方(天は丸く、地は四角い)」の説に従い、四角い土台に円柱が立つイメージで設計されているのだそう。
<入場の仕方>
「上海博物館」には南口と北口の二つの入り口があります。一般個人見学者は比較的空いている北口から入るのがお勧め。団体ツアー客は南口からの入場となります(個人客も入れますが、並ぶ場合があります)。
☆南口
☆北口
先ほどのルートをそのまま進み、右手に噴水が見えたら
|
|
左に北口があります
|
左右に入り口が分かれています。この日は団体客で行列ができていました
各入り口には2ヵ所エントランスがあります。「緑色通道」と書かれているほうは、70歳以上のお年寄りや障がいのある方、特別な予約をした団体の入り口となります。また、土日祝日や特別展で混み合う日は入場制限があります。入場者8000人を超えると自動的に入り口が閉鎖されることも。平日の午前中を狙って行きましょう。
「上海博物館」の入場料は無料です。エントランスを入ったら、まずは空港のような荷物検査とポケット内などの持ち物検査があります。ライター、鋭利なもの、液体、その他危険物などは持ち込めません。
手荷物のX線検査があります
|
|
空港みたいなボディチェックも
|
<1階ロビーの施設>
北口と南口は真ん中の丸いホールでつながっています。ツアーの待ち合わせ場所としても利用されているこちら。迷ったらここに集合するといいかも。西側にはエスカレーター、東側には階段があります。
1階のホールです
|
|
上は4階まで吹き抜け。天井は透明のドーム状
|
南口から見て左手には、日本語パンフもあるインフォメーションが、手前右手には車椅子とベビーカーの貸し出しカウンター(無料)があります。北口から入って手前左手には荷物預かり所(無料)、奥には音声ガイドの貸し出しカウンターがあります。日本語版もありますよ。料金は40元(3時間まで)で、デポジットは7000円(またはパスポートを預ける)です。
インフォメーション(日本語パンフあり)
|
|
車椅子とベビーカー貸し出し窓口
|
荷物預かりカウンター
|
|
音声ガイド貸し出しカウンター
|
トイレは各階にあるので安心。2階には休憩にぴったりのティールームがあります。
貴重な文物の数々を堪能
各展示物には中国語と英語でプレートが付いています。右は音声ガイドのチャンネル番号です
それでは1階から展示室を見ていきましょう。館内には10の展示室があります(企画展などにより変更する場合があります)。それぞれの見どころを以下まとめてみました。とにかく膨大な量の展示品があるので、1〜2時間では全部を見ることができません。たっぷり時間をとってお出かけください。
※館内での写真撮影は全面的に許可されています(フラッシュ撮影、携帯電話での通話は禁止)。
青銅器コーナーはメイン展示室の一つ
1階
「中国古代青銅館」紀元前2000年〜紀元前5世紀までの青銅器400点を展示。細かな紋様とユニークな造型、鋳造技術のスゴさをじっくり鑑賞してみて下さい。これらが作られていた当時、日本はまだ縄文時代だったのか〜と思うと、単純に「中国ってスゴい!」と思えちゃいます。
独特な雰囲気の展示室内
「中国古代彫刻館」戦国時代から明代までの仏像をはじめとする彫刻作品を展示。日本の仏像のルーツを見ることができます。馬や女性など、宗教とは関係のない塑像も興味深いかも。ナビが訪れた日は地元の学生さんが熱心にスケッチをしていました。
古代から近代までの陶磁器が並びます
2階
「中国古代陶磁器館」紀元前8000年前の新石器時代から清代(1900年代初頭)までの陶磁器がずらり。唐三彩、景徳鎮、宜興の紫砂など、日本でも有名な中国の陶磁器文化を紹介しています。茶碗や壷などは裏印(窯印)が見えるよう、下に鏡を置いて展示されています。窯や工房の様子が分かるコーナーも。
窯や工房を再現したコーナー
|
|
裏印が見えるよう下に鏡を置いた展示
|
座ってゆっくり鑑賞できます
3階
「中国歴代絵画館」唐代から清代までの中国画が展示されています。山水、花鳥、人物など、豊かな技法で書かれた絵画の数々をじっくり鑑賞してみて下さい。このコーナーに限り、展示ルーム内にベンチが設置されています。また、作品の劣化を防ぐため照明が落とされています。作品の前に人が立つとセンサーで灯りが付く仕組み。フラッシュ撮影は厳禁です。
書道に興味がある方は必見
「中国歴代書法館」甲骨文字から王羲之、清代の作品まで、書道作品という観点だけでなく漢字の歴史を追うことができる展示です。「何が書いてあるか」「誰の作品か」よりも、純粋に文字の造形美と筆さばきを見るのが通の鑑賞法だそうです。こちらもセンサーで灯りが付くシステムになっています。
篆刻に興味がある方は必見
「中国歴代印章館」西周から清代末期の印鑑500点を展示。彫られている文字だけでなく、持ち手の部分にも注目してみて下さい。彫刻の細かさだけでなく、持ち手部分も山水画の印鑑になっているなど、想像外の技術で作られた印鑑もありました。
歴史に興味がなくても楽しめる!
4階
「中国少数民族工芸館」中国は56の少数民族を擁する多民族国家です。民族によって習慣や文化、衣装が異なるのは世界的にも有名。展示されている民族衣装はオシャレでかわいらしいものばかりです。歴史や美術品に興味がない方も楽しめるコーナーですよ。
古代中国では不思議な力があると信じられてきた玉
「中国古代玉器館」7000年の歴史を持つ中国玉器の展示館です。玉(ギョク/ヒスイ)は、古代より財力と権力の象徴だったらしいですよ。展示物の一つ「神人」は、「上海博物館」のイメージキャラクターにもなっています。
コイン好きならぜひ
「中国歴代貨幣館」古代の青銅製のお金からシルクロードでの中央アジアとの経済活動に使われた古銭、清代の紙幣まで、3000点の古銭を展示。観光客よりも、地元の古銭コレクターのおじさんたちが目立つ展示室でした。
近代の家具がずらり
「中国明清家具館」紫檀や紅木などで作られた中国の伝統家具を展示。特に清代の貴族たちが使っていた応接セットや飾り棚は、気が遠くなるような細かい彫刻が印象的です。
こんな映像ルームもあります
このほか、展示館によって映像(中国語音声に英語字幕)が見られる視聴覚ルーム、学芸員による解説タイム(曜日、時間によります)、専門家による講義(中国語のみ)が開かれることも。詳しい時間帯や場所は、1階インフォメーションでお問い合わせください(掲示もされています)。
ミュージアムショップもあるよ!
南口を入ってすぐ左手にあります
1階南口付近にあるミュージアムショップには、ほかの土産物店では手に入らない手頃なオリジナルグッズが揃っています。レジでは外貨両替も可能♪
こんな商品がありました。
ミュージアムショップの反対側にはレストランがあります(営業時間11:00〜17:00)。が、ざっとメニューを見てみましたが、おいしそうじゃないな〜(ナビの主観ですが)。どうしてもお腹が空いたときはこちらへ。
いかがでしたか? 実はナビもそんなに歴史や文化に詳しいほうではないのですが、青銅器の幾何学的な紋様、陶器で作られた動物たちのかわいらしさ、山水画のなかにいる小さな人物たちなどを眺めていると、時間や国籍を超えてこれらを作った人と心が通じ合えたような気がしました。あえて中国史や文化様式を予習せず、ゼロの状態で歴史を眺めてきた文物たちと向き合うのもお勧めですよ。
以上、上海ナビがお伝えしました。