とっても素朴、情景がほんわかと伝わってくる中国民間芸術の“農民画”をお散歩がてら見に行ってみよう!
こんにちは、上海ナビです。
多くの外国人たちを惹き付けてやまない “中国アート” の世界。そんな中でもちょっぴり通(ツウ)な人気を誇る 「農民画」 という民間芸術があるのをご存知でしょうか? もともとは、農作業を賞賛し豊作を推進するためのプロパガンダとして村の一角の壁に描かれる絵だったんですが、70年代に入り専門家たちが農村に赴いて美術指導するようになった頃から1つのアートとして発展してきたのが、この農民画と呼ばれるものなんです。
農民画はそれが描かれる地域ごとに個性も違うそうで、上海近郊の金山で描かれる有名な「金山農民画」 の他にも、江蘇省の 「県農民画」、広東省南部の 「龍門農民画」 などイロイロあるみたいですよ。
鮮やかな色彩とホンワカしたタッチに魅了される人も多いこの農民画ですが、切り絵や書画ほど観光地ですぐ見つかるものでもないのがファン泣かせ。そこで、今回は上海市内でも気軽に足を運べるロケーションで農民画を専門に扱っている 「D. ART GALLERY(ディー アート ギャラリー)」 をご紹介しましょう。
★お店があるのは淮海路を1本南に入ったコチラ!
最寄駅は地下鉄1号線 「陜西南路」 駅。淮海中路を東に歩き、瑞金二路の交差点を越えた先右手に「思南路」という小さい通りがあります (「H&M」 のショップが目印)。この思南路で右折し、1つ目の交差点角(思南路×南昌路)にお店があります。ここからさらに南手にはアートスポットの泰康路などもあり、お散歩するにも悪くないコースですよ。
写真の門を入った左手が「D.ART GALLERY」。
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交差点をそのまま通過すると、思南路の右手から店内が覗けます。
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先ほどの大きな門はロックが掛かっています。門の左手に写真のようなチャイムがあるので、ここを“ピンポーン♪”と押すとお店の人が門を開けてくれますよ。
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ささ、中へ入ってみましょう!
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こじんまりした店内ですが、四方を農民画と照明で彩られ、何となく居心地のよい和みのスポットに入り込んだ気分です。
大きいものから手軽なプチサイズまで様々な農民画が並びますが、基本的には 15×15cm、25×25cm、40×40cm というサイズ展開になっているそう。いやー、どれもホノボノした画風ですね。
と、程なくフランス人の家族連れがお店へやってきました。彼らにはすでにお目当てがあった様子で、いくつかサクサク選んでご購入です。
一緒に来ていたキッズたちも「これスゴーイ、きれいー!」。
ほのぼのタッチは、大人だけでなく子供だって魅了します。
フランス人のお客さんたちが選んでいる間、ナビもソファに腰掛けつつイロイロ可愛い絵を物色。「飾るなら25cm四方を幾つか並べるのもいいな~」 とか考えつつ、ちょっと欲しいと思った絵をここでチョコッとご紹介しましょう。
★絵の中にストーリーがあってお茶目!
中国の街角風景といえば、やっぱ “洗濯物” でしょ! チョウチョも飛ぶ晴れた日に、洗濯干して人もネコも日向ぼっこして、ニワトリさんだって活動中!
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これは梅の花?雪に咲く梅の花といえば、毎年湖北省武漢で開かれる中国武漢梅花祭にも行ってみたいな。上海は通常あまり雪が降らないので、これはまた違う地域で描かれた農民画なのかしら?などなど考えてみるのもまた楽しいですね。
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雨の中で漁を行う漁村の風景。よいしょ、よいしょっと引き上げる藁葺き雨具の人々や、よーし、これから引き上げるぞーというオジサン(?)や、それを見物する住民たち。雨降りだけど楽しそうにも見えるシーンです。
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なぜかこのとても単純な雰囲気に和みを感じた一枚。伝統的な切り絵や刺繍、版画、影絵などの手法に習って描かれる農民画の、この平面的で素朴な画風もまた魅力的。
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価格は当然ながら作家さんの知名度とサイズで変わってくるんですが、15cmモノなら130元~、25cmモノなら300元前後~のお値段から購入できるんですよ。サイズも価格もお手頃な小さいサイズならアート初心者でも手を出しやすいですよね。
★農民画初心者でも、楊(ヤン)さんがいれば安心!
こちらは日本語ペラペラのオーナー、楊さんです。楊さんが農民画に出会ったのは、以前某日本語版フリーマガジンの企画で農民画作家の取材をした時のことだそう。それ以降、農民画に興味が沸いて今に至るそうで、「農民画は初めてなの」って方でも気軽にイロイロ聞ける雰囲気を持った方です。何より、絵の説明を日本語でして頂けるのがポイント!
楊さん、必ずしも毎日お店にいらっしゃる訳ではないそう。お店に行く際に楊さんに居て欲しい!という方は、来店1日前までに携帯へ連絡してくださいとのことです。
(※連絡先は基本情報をチェック!)
★ちょっと違う雰囲気のものも発見です!
飾られているものの他にも、いくつも重ねられて並ぶ農民画の数々。好奇心旺盛にパラパラ奥のものを捜索し始めると、またまた個性的なものが続々登場!
これは中国南西部でも最も華南に近い貴州省の農民画だそう。少数民族の多い貴州らしく、今まで見てきたものとはまた全然タッチが違いますよね。とうもろこしを食べる人々の顔の描き方といい、鳥やネコだけでなくアリンコまでしっかり登場しています。
「そういえば、さっきまたゼーンゼン違った雰囲気のものもあって気になる!」というナビに、楊さんも「これですか?」と、探してくれます。
★これはさらに一昔前の版画だそうで
まだお店で販売はしていないそうなんですが、数百年前の版画なども見せていただきました。女性の顔も現代と違って“その時代の顔つき”だったり、農村の絵にもまた「この人が多分この辺で一番偉い人で…」とか想像できたり。こういう絵の楽しみ方って意外と新鮮。
★数ある作家さんの中でも・・・
こちらに並ぶ農民画の多くは、金山の作家さんに直接会って購入されているそうです。色んな作家さんを見てきている楊さんですが、個人的に気になる作家さんはいらっしゃるんでしょうか?
そんなナビの問いかけに、朱永金さんの農民画2点を指した楊さん。「彼はとっても真面目な方で、それが色使いやタッチによく現れているんですよね」と。うーん、なるほど!確かに、この絵は他と比べてかなり緻密な描かれ方。
あと、こちらを描いた楊徳良さんはもう78歳くらいで片目の画家さんなんだそう。無数のカモメと細かく描かれた波が爽快で、つい欲しくなってしまう一枚ですが、いい作家さんでも高齢になってくると当然絵も描きにくくなってくるそうで…。
ここで農民画に興味が沸いて、色んな作家さんたちの異なる画風をもっと知りたい方は、農民画の集められた画集をちょっと覗いてみるのもオススメです。
★まずは小さなグッズから絵の世界へ!
さて、他にもご紹介したい絵はイッパイなんですが、何より実際に見て楽しんでもらうのが一番!そこで最後に、旅の記念にもなりそうなお手頃グッズをご紹介します。
お店には農民画のポストカードやコースターなども販売されています。絵を買うのにはちょっとした決心が必要だけど、ポストカードならもっと気楽に農民画と親しめますね。ポストカードは1枚5元~で購入できます。
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こちらのコースターは、6枚セットで58元。プレゼントにもいいですね。
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ナビも、2008年干支スタンプ入りポストカードセットをGET!ちなみに、こちら購入すると8枚セットで45元です。スタンプなしでもっと全体に絵がドーン!としているポストカードもありますよ。
いかがでしょう?
実はナビもちょっと前まではこのアートの存在をあまりちゃんと認識していなかったんですが、まるでオーナーの楊さんのように一度知ったらどんどん興味が沸いてきちゃいました。好奇心もあり「いつか金山にも足を伸ばしてみたいな~」なんて思ったりも!
すでに農民画ファンの方も、ここでちょっぴり興味を抱いた方も、上海滞在の間にぜひこのお店のベルを鳴らしてみてくださいね。
以上、上海ナビがお伝えしました。
~このエリアに足を運ぶとこんなお店もありますよ~
★「 金枝玉葉 」
「 D.ART GALLERY 」から南昌路を西に 茂名南路との交差点まで歩くと、この通りだけで 3 店舗もお店を構える有名チャイナドレスショップ「金枝玉葉」があります。 ここではオーダーも、既製品のお直しも可!日常使いにも活用できそうなアイテムもあるので、一度お店を覗いてみてくださいね。
住所: 茂名南路72(丙)号 電話: (021) 5465 1768
また、さらに少し南にある 瑞金二路×復興中路 の交差点付近には日本人旅行客にも人気のマッサージ店が2軒あります。ショッピングがてらのお散歩にマッサージをプラスするのも◎!
★「 香扇閣 」
住所: 瑞金二路 87 ~ 89 号 電話: (021) 6385 3130
★「 回眸保健会所 」
住所: 瑞金二路 117 弄 1 号 電話: (021) 6466 4857