歴史ある劇場できらびやかな京劇を鑑賞しよう! 地元ファンが足繁く通う庶民的な娯楽の殿堂。
こんにちは、上海ナビです。
中国らしいエンターテインメントというと、京劇を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。「西遊記」や「覇王別姫」などの演目は日本でも有名ですよね。今日ご紹介するのは、100年以上の歴史を誇る、上海を代表する京劇シアターです。日本でいえば銀座の歌舞伎座でしょうか。でも、こちらはもっと敷居が低くて、地元のお年寄りたちが普段着で通う親しみやすい劇場なんです。早速出かけてみましょう〜。
「上海天蟾逸夫舞台」に行こう!
「上海天蟾逸夫舞台」があるのは福州路。最寄り駅は地下鉄1、2、8号線「人民広場」駅です。駅からの行き方はこんな感じ。
福州路というと、現在は書店や画材店が並ぶ文化系ストリートとして知られていますが、戦前は四馬路と呼ばれ、上海有数の歓楽街だったそうです。「上海天蟾逸夫舞台」がオープンしたのは、福州路がいちばんにぎやかだった1920年代。当時としては最新鋭のエンタメスポットだったのかもしれません。戦前もっとも有名だった女形の役者・梅蘭芳もここで「覇王別姫」を演じたことがあるそう。
入り口のなかにチケット売場があります
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チケットを買う入場券は劇場窓口かネットで購入することができます。平日の公演であればほぼ100%当日券で入場可能(昼公演、夜公演があります)。予約が必要そうな公演をどうしても見たい場合は、1〜2日前に劇場窓口へ出向いて買うのが確実です。値段は公演にもよりますが30元〜。安いですよね。スケジュール、値段、出演者などは公式サイトをご覧下さい。
「上海天蟾逸夫舞台」(中国語のみ) http://www.tianchan.com/
チケット売場。右手が当日券専用カウンターです
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パンフレットや公演スケジュールも
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☆演目について
「上海天蟾逸夫舞台」で上演されているのは主に京劇と昆劇(ほかに滬劇、越劇、紹劇など)。劇団は「上海京劇院」が有名です。初心者でも楽しめるのは、京劇のアクション系(西遊記、三国志など)。雑技さながらの迫力の立ちまわりは見応え充分です。一方昆劇(牡丹亭など)は役者の動きが少なく、たいていがゆったり進むラブストーリーなのでちょっと退屈に感じるかもしれません。まずは会場でポスターを見て、「なんか迫力ありそう!」と思うものを選んで見てみて。
ソロで歌い切った役者さんに大歓声が送られます
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鑑賞法歌舞伎の場合、常連のお客さんたちが「○○屋!」のようにかけ声をかけたりしますよね。京劇も、最前列を陣取った常連たちがひいきの役者が登場したとき、難しい技が決まったとき、早口の長台詞が決まったとき、難しい発声の歌を歌い切ったときなどに拍手と声援を送ります。声援は「ホウ!」(上海語の「好!」)。ステージと客席の一体感も独特です。マスターしていっしょに声援を送ってみては。
実際に京劇を鑑賞しました!
今回ナビが鑑賞した演目は京劇『狸猫換太子』。単純にタイトルがおもしろそうだったのと、キャストに厳慶谷の名前があったので見てみることに。厳慶谷さんは国家一級俳優で、日本公演もよく行なっているアクション系の役者さん。狂言や歌舞伎にも造詣が深いそう。京劇に興味がある日本人なら絶対知っているはず。
60元でした
この日は祝日の夜公演だったのですが、午後早めに劇場に出向き、当日券をゲットすることができました。会場内はこんな感じです。
席数は928席。かけ声を送りたい地元の常連さんは最前列を陣取ります。
ステージの下には楽隊がいます。オペラと同じ仕組み。全部生演奏なんですよ。
『狸猫換太子(山猫と皇子のすり替え)』は宋代の宮廷の物語。「先に皇子を生んだ方を妃にする」と言われた二人の妃候補同士の陰謀が軸になったストーリーです。
中国語の字幕が出ます
舞台の両側にある電光掲示板には台詞の字幕(中国語)が出ます。が、ほとんどが古い言いまわしの言葉なので、中国語の日常会話は問題ないと自負しているナビで理解できたのは3割くらい……。台詞よりも役者さんの動きを追うほうが物語について行けるかも。
独特な動きと発声に釘付け!
でも、言葉がわからなくても、役者さんたちの独特な動きや台詞の言い方、同じ節がループする音楽は、なんだかずっと見ていられます。「絶対ナビよりも理解していないはず!」と思う欧米人の観光客もステージに釘付けになっていました。
終了は21時過ぎ。福州路は比較的タクシーが捕まえやすい場所です
この日の公演は休憩を挟んで3時間。かなりの見応えでした(京劇は長いのです!)。子ども連れだとちょっときついかもしれません(子どもの入場制限はありませんが、チケットには子ども料金がないため、大人価格で購入する必要があります)。また、写真撮影はフラッシュをたかなければOKとされています。
京劇ファンのための周辺情報
「上海天蟾逸夫舞台」の裏手に延びる汕頭路には楽屋出入り口があります。「出待ちしたいほどファン!」という方はこちらへ。
さらに一本南に延びる広東路には、京劇の衣装や小物を売るお店があります。ただしこの界隈、再開発されるようで古い店舗が軒並み閉店中。写真は2014年10月現在のものです。
レトロな上海料理店です
「上海天蟾逸夫舞台」から徒歩10分ほどの九江路には、京劇ファンなら知っているレストラン「鮮墻房」があります。レトロな店内で絶品上海料理を食べながら京劇を鑑賞できるお店なんですよ。シーズンには上海蟹も味わえます。
※公演時間などはお問い合わせください。ディナータイムは要予約です。
いかがでしたか? 京劇に関してはまだまだ初心者のナビ。地元のおじいちゃんたちが気軽に見に来られる雰囲気と価格帯で、こんなに芸術的なショーを楽しめるなんて知りませんでした。夜、夕食後の予定が決まらなかったときなども、平日なら当日券でふらっと気軽に入れます。ぜひ皆さんも、中国ならではのきらびやかな舞台芸術の世界に足を踏み入れてみて下さい。
以上、上海ナビがお伝えしました。