上海近郊の水郷古鎮、映画“MI・Ⅲ”のロケ地にもなったノスタルジックな水郷の町「西塘」の魅力を完全公開!
こんにちは、上海ナビです。
今日は水郷古鎮「西塘」をご紹介します。「西塘」は上海との境界に位置する浙江省嘉興市嘉善県にある小さな町です。他の江南水郷古鎮と比べると町の規模は小さく、整備が進んだのもごく最近のことで、町全体がひっそりとした雰囲気。特色はなんといっても「弄堂」と呼ばれる路地の数の多さ!そびえたつ壁と壁の間の細い路地はまるで異空間のよう。他にも趣のある見どころが多数あり、ナビはすっかり「西塘」の魅力にハマっちゃいました!
「西塘」は水郷古鎮の中でも一番マイナーなスポットらしく、観光客の数がそんなに多くないまさに穴場スポット!古い建物が多いせいか、それとも住民が素朴だからなのか、ノスタルジックな雰囲気が漂う「西塘」へさっそくご案内~!
~西塘到着!~
「上海体育館」からバスで2時間弱。町の真ん中にある第二駐車場に到着したナビ。 「西塘」には博物館などの観光スポットが11ヶ所ありますが、これらは「上海体育館」であらかじめ買っておいたチケットに入場料と共に含まれているので、すべて問題なく見学できます。チケットだけは無くさないようにしましょう!
● 張正根彫芸術館(木彫り芸術展示館)
バスを降りると、白い壁にスペードを発見!「張正根彫芸術館」へとつながる門でした。独特ですね~。芸術館の中には4つの展示ホールがあり、総数300点以上の木彫り作品が展示してあります。
ひとつ見学終了~。残り、10ヶ所。「西塘」は小さい町ですが、観光スポットが点在している為、どうやって廻るのが一番いいかな?と地図とにらめっこしているところに、三輪タクシーのおじちゃんが声をかけてきました。
1. 11ヶ所をガイド付きで廻ってくれる(見学中はおじちゃんは門の外で待っている)
2. 好きなときに好きなところで三輪タクシーに乗降可能
3. 帰りのバスの時間(16:00)までチャーターOK 迷いましたが、とにかく暑い日だったし、「西塘」の地理に詳しくなかったこともあって結局お願いすることにしました!50元を30元に値切って、出発~!
おじちゃんの名前は孫(ソン)さん。ハンドルさばきがまさに神技!舗装されていないガッタガタの道だってスピード落とさずぶっとばします。まずは東側の景観区を案内してくれるそうです。
三輪タクシーでスイスイ!孫おじちゃん★おまかせ観光ルート
● 倪宅・承慶堂(私邸)
元共産党優秀党員であり、上海の副市長を務めたこともある倪天増氏の邸宅です。承慶堂と名の付いたホール、台所、書斎、寝室、お琴室などが公開されています。そして、「西塘」の中で最も短い「弄堂」がありました!その距離たった?歩!ご自分の足で確かめに行ってみてくださいね。
● 水陽楼(一般人の家)※入場料5元
チケットの中には含まれていませんが、県の文化保護地に指定されているらしく、気になったナビは5元払って中に入ってみました。芸術家徐永明氏の作品や、400年の歴史あるベッドなどが展示されており、ここのおねえさんが付き添って丁寧な説明をしてくれます。入り口で「ニイハオ!」とお出迎えしてくれた九官鳥くん。が、その後「開発票(領収書ちょうだい)!」とずっと叫んでいました。…いったい誰に習ったの?
● 聖堂
三輪タクシーの屋根が「弄堂」の壁にスレてるよ!とヒヤヒヤしながら進むと、お寺のような「聖堂」に着きました。中に入り仏像に圧倒されていると、お姉さんが横にピッタリ付いていろいろ説明をしてくれました。言われるがままクジをひくと、その結果を和尚さんが事細かに教えてくれます。占い好きなナビがホクホクな気持ちで立ち去ろうとしたら、さっきのおねえさんとは違う人が「このロウソクを買えばもっと幸せになれるわよ!この権利が得られるなんてあなたラッキーよ!」と、390元のロウソクを売りつけられそうに!ドヒャー!NOと言える日本人でよかった!
※「不要!」とはっきり断っても、怖い目に遭うことはないのでご安心ください。
● 西塘明朝民居木彫陳列館(明朝期木彫り館)
木彫りの品250点が展示されています。「張正根彫芸術館」の作品はどれも大型でしたが、こちらのは机の上におけるサイズがほとんど。小物の販売もしていましたよ。
~目撃!住民の暮らしぶりがそこに~
川で「馬桶」というオマルを洗っているおじさん。現在でも地方都市では水洗便所が無く、オマルを使用している家庭が少なくないのです。そして、鶏の羽をむしるおばさん。今日の晩ご飯のおかずかな?
● 中国酒文化博物館(黄酒博物館)
黄酒:7~158元
ここ「西塘」の特産のひとつに「黄酒」があります。黄酒とはもち米・栗・粟などで醸造したお酒。館内で販売もされていましたよ。中庭には「魂」と大きく彫られた石碑。酒=俺たちのソウル!ということでしょうか。
~東側終了でーす~
「塘東街」という門をくぐって東側景観区をあとにしました。「東街」というこの通りにはお土産屋、ゴハン屋が並んでいます。三つで10元の中国風小物が売ってました。安い!そして、ナビの目をひいたお花のようなもの。なんだと思いますか?正解は、トリの羽に色をつけて作ったウチワ!日干し中でした。
「肴塘橋」という橋を渡って目指すは西側!
~西側景観区に到着だー!~
西側にはより多くの「弄堂」があるそうで、楽しみ!有名なお食事処「銭塘人家」が「永寧橋」を渡ったところにあります。
● 江南瓦当陳列舘(瓦博物館)
300以上の歴史ある瓦が、用途と年代が書かれたプレートと共に展示されています。
● 鈕釦博物館(ボタン博物館)
「西塘」にはボタン生産企業が多く、生産量は全国の40%!この博物館には、漢朝から現代に至るまでの、約1000個のボタンが展示されています。ボタン作り名人のおじいさん、たくさんのフラッシュを浴びていました。
● 西園(私邸)
ここは金持ちの家、と孫おじさんが教えてくれました。膝まである敷居をまたいで中に入ると、庭園の豪華さにびっくり!池もあるし、岩のオブジェのようなものまである。室内には扇子が展示されていました。
●王宅(私邸)
現在公開されているのはこのホールだけ。窓格子の赤が美しい。
●石皮弄(路地)
「西塘」で一番幅の狭い路地です。その幅なんと80cm!奥へ進むと、ごはん屋さんと茶館がありました。ナビが行った時はおやすみ中~。
水面にはっきりと映った「環秀橋」の姿は、まるで輪を描いているかのよう。橋を渡り、生活感あふれる長廊下を進み、次なる観光スポットを目指します!
●酔園(庭園)
明朝に初めて建てられ、もともとは5つの庭園がありましたが現在残っているのは4つだそう。奥へ進むと、版画がたくさん飾られた部屋があり、ここで優雅に読書なさっていたのが版画家・王氏です。彼の作品は20~30元で販売もされてました。
● 護国随糧王廟(寺)
ヒトケの無い長廊下をどんどん行くおじさん。とうとう最後の観光スポットです!…時は明代にさかのぼります。干ばつに見舞われ食糧不足に悩んだ農民たちに食料を配り、農民たちの命を救ったものの、それが法律違反だったので、処刑されてしまった官吏を供養する為に立てられたお寺です。彼が七男だったので、「七老爺廟」とも呼ばれています。
~観光スポット巡り終了!男女産み分けができる橋へ~
11ヶ所すべてまわったナビですが、「送子来鳳橋」に行きたいというリクエストをして連れて行ってもらいました。この橋、“男女の産み分けができる”という言い伝えがある橋なんです!石段になっている方が男の子、スロープになっている方が女の子を生めるそうです。橋の上でおじさんが自分の家で植えたという瓜をむいてくれました。この時の時間はちょうど午後2時をまわったくらい。瓜をいただきながら、おじさんと日本・中国について、家族の話、果ては因果応報についてまで語り合いました(笑)
~舟にのりたい!~
舟:1艘100元/12人まで乗船可
「送子来鳳橋」を渡り左へ曲がったところに、舟の港があります。ルートは、ここから「護国随糧王廟」まで東へぐーっと進みます。「遊船服務中心」で先に乗船チケットを買いましょう。1人でも12人でも同じ料金なので、あいのりした方がオトクですよ。
港の近くに水上ステージがありました。夜になると、江南の伝統的な劇が上演されます。川を隔てての演劇鑑賞はまた格別な魅力があるそうで、今度はナビも夜の「西塘」を訪れたいな。
~お待ちかね!西塘の特産品をご紹介~
「弄堂」を挟んでずらっと並ぶお土産屋さんは住民宅の一階部分を改装したものなので、庶民の生活臭プンプンです。そして、西塘のみなさん、商売っ気があまりない!暑過ぎて単にやる気がなかっただけかもしれないですけど、そのテキトーっぷりがまた心地よかったです。
◆ 荷葉粉蒸肉(豚肉のハスの葉煮)5元
米の中に味付けされた豚肉が入っている、というところはチマキとよく似ていますが、違う点は 1. 笹ではなくハスの葉を使用 2. 米が湯葉でコーティングされているところです。“八角”の風味がきいています。
◆ 十三香扎肉(十三香豚煮)2元
「十三香」とは、八角、丁香など中国おなじみのスパイスをまぜあわせた調味料です。風味を期待してパクリ!あれ?あんまり味が染みこんでないや…。みなさんはタレがたっぷり染みこんでいそうなのを選んでくださいね!
◆ 八珍糕(八珍ケーキ)、芡实糕(鬼蓮の実ケーキ)6元
八珍ケーキはサンザシなど8種類の薬草ともち米と砂糖でできたもの。“ラクガン”のような食感です。オニバスの実ケーキはしっとりタイプで、味はトウモロコシ、薄荷、胡麻などバラエティに富んでいます。味は…どれもベースは薄荷?これがオニバスの味?とにかくツーンと鼻にくるかんじ。しかして、栄養失調の治療に効果があるほど栄養満点だそうです。
◆ 五香豆(煎りそら豆)、薫青豆(煎り青エンドウ豆)、大頭菜(カラシ菜の漬物)1元~8元
「西塘」のいたるところで見かけたお豆さんたち。「五香豆」は上海の物産店にもありますが、こちらが本場だそう。そら豆もエンドウ豆も噛みごたえバッチリ。しょっぱい味と甘い味があり、一番小さい袋なら1元で売ってます。ナビのお気に入りは、カラシ菜の漬物!見た目真っ黒で食感も昆布のようですが、甘じょっぱくて日本人好みの味。一度食べたらなかなか手がとまらない!
~西塘の特色にクローズアップ~
「西塘」の特色は「弄堂」の多さだと冒頭でも触れましたが、その数合計122本!まるで迷路のようにつながっています。「弄堂」はもともとが狭いのですが、「西塘」の中にはなんと幅30cmしかない「弄堂」があるんですって!カニ歩きでやっと通れる程度の狭さだとか。時間があったら122本すべて制覇してみるのもオツかも?そして、もうひとつ。中国の川はなぜか緑色で、ここ「西塘」の川もやはり緑色なんですが、透明度が高い!メダカの群れやカモまで泳いでいました。いつまでも水が澄んだままでありますように!
~さよなら!西塘~
「西塘」がすっかり気に入ったナビですが、バスの時間に遅れてはならないので、おじさんに駐車場まで送ってもらい、三輪タクシーの旅もこれにて終了となりました。最初はアヤシイから相手にしなかったのですが、この三タク、なかなかオススメです。運転手のおじちゃんと仲良くなればいろんな話をきかせてもらえるし、それに細い道を走るとき、「来!来!来!」と通行人をけちらしながら進むんです。にわかお姫様気分が味わえます。
西塘ガイドブック 8元
三輪タクシーではなく自分の足でまわりたい!という方は、ガイドブックを買うと便利です。地図や各観光スポットの説明が中/英/日本語で書いてあります。正しくない日本語ですが、そこもまた一興!と思って旅のオトモにしてあげてください。駐車場内にある商店で売っています。ちなみに、駐車場から「張正根彫芸術館」に向かって右に路地を進むと「西街」に出ます。近くには「江南瓦当陳列舘」や「鈕釦博物館」があります。
~オマケ。お手洗いについて~
いたる場所でお手洗いをみかけましたのでご安心を。中もわりとキレイです。場所によっては無料ではないお手洗いもあるので、小銭(3角程度)とティッシュは必須です。
上海近郊の水郷古鎮シリーズでは、これまでに「朱家角」「周庄」「烏鎮」「西塘」の4ヶ所をご紹介してきました。機会があればぜひすべてに足を運んでみて、それぞれの違った魅力を堪能してみては?“癒し”の他に、きっとイロイロな発見に出逢えるはず!
以上、上海ナビがお伝えしました。
■行き方・料金など
上海体育館の横にある「上海旅遊集散中心」の窓口で、上海-西塘往復バス代+入場料+11ヶ所の施設入館料がセットになったチケットを購入するとおトクです。
バス出発時間:平日9:00 ガイド無し
土日8:30 ガイド有り・9:00ガイド無し
セットチケット料金:一律120元