東洋のパリを気ままにお散歩♪ アールデコ調のモダン建築を眺めながら、当時の上海に思いを馳せよう。
こんにちは、上海ナビです。
上海は、アジアにありながらどこかモダンな雰囲気が漂う街ですよね。特にプラタナス並木の続く旧フランス租界エリアを歩いていると、ヨーロッパの路地裏に迷い込んだような気分になります。でも、具体的にフランス租界エリアってどこ? 過去、どんな歴史があったの? など、知らないという方は多いのではないでしょうか。今回は、フランス租界エリアのお勧めお散歩ストリートを中心に、フランス租界の見どころ、歴史などをざくっとご紹介していきたいと思います。
旧フランス租界基礎知識
エリア内にはこんな古い洋館が多数
租界とは、当時の清国内にあった外国人居住地のこと。上海に租界ができたのは、1842年に清がアヘン戦争に敗れたのがきっかけです。フランスは1849年に上海の土地を租借。イギリスやアメリカが共同租界を建設したのに対し、フランスは現在の淮海中路を中心に単独でフランス租界を建設しました。当時は、中国でもっとも西洋的でモダンな高級住宅街だったといいます。この土地が中国に返還されたのは1943年。現在上海の街で目にする老房子(古い洋館)は、当時の住宅が残ったものなんです。
フランス租界エリアは淮海中路を中心に広がっています。範囲はやや曖昧ですが、地図で示すとざっとこんな感じでしょうか。
文化財建築に貼られているプレート
<フランス租界エリアはこんな場所>上海を代表する観光&街歩きスポットではあるのですが、観光地としてはやや上級者向き。日本で有名なものや「これぞ中国!」というものはそれほどなく、範囲が広いので、歴史もよくわからない状態でなんとなく、あてもなく歩くとはっきり言ってつまらなくて疲れます。「雰囲気だけ味わえばいい」「歴史とかちょっとよくわからない」という方は、「新天地」などのリノベーションスポットへ食事やお茶、ショッピングなど、ピンポイントで出かけることをお勧めします。
カメラ女子が多いエリア
|
|
カフェでぼーっとしてる人も
|
在住外国人に人気のお店がいっぱい
地元上海人や上海在住外国人にとって、フランス租界エリアはあこがれの場所。閑静な通りにおしゃれな店が点在していて、ほどよく庶民的で、市中心地なのに静かなのです。リノベーションされた老房子(洋館)は数千万元(≒数億円)で取引されているんですよ。友達やカップルでの食事、お酒などは、フランス租界エリアのお店を選べば間違いなし。また、ベタな観光地とは雰囲気が違うので、「フランス租界を歩きたい」というだけで現地の人に一目置かれる旅行者になれます!
フランス租界エリアを歩く
それでは、早速エリア内を歩いてみましょう。エリアの楽しみ方は、歩く、上海人の暮らしを感じる、古い建築物を鑑賞する、おしゃれな隠れ家店を探す、通りがかりのお店でお茶やお酒を楽しむなど。気ままに歩くのが好きな方にお勧めしたい、フランス租界エリアの鉄板ストリートをご紹介します。この3つのストリートを攻略すればもう上海通!
<復興西路>東は淮海中路、西は華山路まで続く閑静なストリートです。オシャレなカフェ、ショップ、バーが点在していて、道沿いには、なんと12ヵ所もの文化財建築があるのだそう。領事館などの重要な施設も多いんですよ。でも、そんななかで普通に生活する地元の人たちの姿も見ることができます。道沿いの建物のドア、窓枠などの装飾はアールデコ調でまとめられており、そのモダンさに驚いてしまうはず。
通り沿いにはこんなお店があります。
<思南路>フランス租界のやや東側に位置する思南路は、孫中山(孫文)の旧家や100年の歴史を誇る復興公園などがあり、当時の面影を色濃く残す道です。れんが造りの重厚感あふれる老房子では、今もそこで洗濯するおばあちゃんやかけまわって遊ぶ子どもたちが見られます。どの家も広い庭があって、住民に頼めば庭だけ見学させてくれることも。プラタナスの葉が生い茂る街並は、日射しの強い日も涼しく木陰を歩くことができます。
通り沿いの見どころです。
<武康路>淮海中路の西に位置する武康路は、道路の入り口にどーんとそびえる「武康大楼」でお馴染み。その向かい側には、宋慶齢故居があります。「上海でもっとも美しいストリート」とも呼ばれていて、素敵な老房子がいっぱい。静かで交通量も少ないので、犬の散歩をする人や建物の撮影をする人たちにもたくさん遭遇します。途中、先ほどご紹介した復興西路に交わっているのであわせて散策を。同じく交わる泰安路、五原路、湖南路も雰囲気たっぷりです。
通り沿いにはこんな場所があります。
そのほかのお勧めストリート
時間があれば、ぜひ歩いてほしいのがこのストリート。有名観光地メインの旅行者が気づかない上海の魅力に出会える場所です。
永康路2012年以降、新たなバーストリートとして話題に。週末の夕暮れ以降は東側がとてもにぎやか。
東平路在住欧米人に人気のショップやレストラン多数。平行する桃江路も素敵です。
永福路北側におしゃれなバー多数。領事館が点在し、静かな雰囲気のなかお散歩できます。
皋蘭路聖ニコライ教堂などの文化財建築多数。平行する香山路も雰囲気満点の道です。
紹興路老房子をオフィスにする出版社が多いストリート。静かなのに意外や人気店が多い道です。
安福路こちらも人気店が多いおしゃれストリート。週末は散歩を楽しむ在住外国人がいっぱい。
フランス租界エリアで見つかるもの
ここまで読んで、「フランス租界エリアの観光=古い住宅街を歩くこと」だということが分かったのではないでしょうか。今も実際にたくさんの人が暮らしているこれらのストリートですが、こんな目線で歩くのも楽しいんですよ。
一見、超ローカルな八百屋さんですが
☆
八百屋がおしゃれ一見ローカルな八百屋さんでも、在住外国人が多いフランス租界エリアの八百屋さんは外国人のニーズに合わせた品揃えにしています。日本でもあまり見ないめずらしい西洋野菜がいっぱい!
☆
猫と遊ぶ上海の住宅街には猫がたくさんいます。日本よりも人なつこくて、駆け寄ってきてくれる子も。果物屋さんの店先や、住宅の出窓などをチェックしながら歩いてみて下さい。
☆
こんな風景&モノもにぎやかな場所や土産物店はないけれど、歩いていると意外なおもしろいものに出会うのがフランス租界エリア。いろいろ見つけながら街ぶらを楽しんで下さい。
フランス租界エリアの住宅
☆
街並を比べてみる上海は同じ市内で、同じ年代に建てられた家屋が並ぶエリアでも場所によって雰囲気が変わります。外国の租界にならなかった豫園商城周辺や日本租界エリア、ユダヤ人が暮らした場所などもあわせて散策を。フランス租界エリアの独特なモダンさがより理解できるはずです。上海の近代史のおもしろさにも気づくハズ。
お出かけ前に、こんな記事も参考にしてみてください。
フランス租界エリアのなかに泊まるならこのホテルがお勧め! いいホテルが多いエリアなのです。
いかがでしたか? 在住者と旅行者では、行きたがる場所がやや分かれている上海。特にフランス租界エリアは、「在住者が旅行者を案内したいと思う場所No.1」「ナビ個人的に上海で好きな場所No.1」なのですが、案内すると旅行者の皆さんの反応がけっこう微妙という(上海在住者あるあるの一つかも)、難しい場所だったりします。この記事で魅力が伝わったでしょうか……?
以上、上海ナビがお伝えしました。