古き良き上海の農村風景を今に伝える水郷「楓涇」と「金山農民画村」へ、週末ミニトリップに出かけよう!
こんにちは、上海ナビです。
今、上海はちょっとした「農村ブーム」。社員旅行でファームステイを企画し、OLたちの大好評を得た会社もあるとか。生まれたときからビルの谷間で育った上海の80〜90年代生まれは、畑や古い民家が新鮮に映るのかもしれません。そんな彼らに今大人気の地が金山。市中心から車で1時間ほどで行ける農村とあって、週末旅行の定番スポットになってるんですよ。外国人旅行者が押し寄せている周荘や朱家角とはひと味違う、ローカル色の濃い街なんだとか。さっそく行ってみることにしました!
場所は上海の南端に位置する金山区。高速にのれば1時間ほどで到着します。タクシーなら120元ほど。地下鉄1号線「蓮花路」駅の長距離バスターミナル「梅龍鎮」駅からバスも出ていますが、やや分かりにくくローカル色満点のバスなので、タクシーやチャーター車をオススメします。3〜4人で行くならその方がお得で快適かも。
今日のナビの目的地は、数ある金山区の観光スポットの中でも特に人気の水郷「楓涇」。金山区のいちばん北に位置します。入り口はこんな感じ。チケットは80元で、このエリア内にあるミニ博物館やお寺の拝観料も含まれています。では早速入ってみましょう。
古き良き時代の面影が残る街
「楓涇」は、江南の水郷文化を今に伝える街。1500年の歴史を持つといい、上海では知らない人はいない近代の画家・程十発、漫画家の丁聡など、小さい街ながら多くの文化人を輩出している地でもあります。観光化されすぎていない静かな街並、そこに住む人たちの濃厚な近所付き合いの様子、季節ごとにその色合いを変えて行くのだろう風景を見ていると、優秀な芸術家を多く生んでいるというのにも納得できるはず。スケッチブックやカメラを持って歩くのもオススメです。
街に点在する博物館
入るときに購入したチケットで、この地域に点在する9か所の施設に無料で入場することができます。今日ナビが訪れたのはこの3か所。
「人民公社旧址」
文革時代の施設で、当時の会議室、防空壕、戦闘機などが展示されています。同行した上海人の知人は、食料や生活物資の配給券の展示を懐かしそうに見ていました。防空壕の中は、真夏でも肌寒いほど。こういう展示施設は、日本人としてはなかなか立ち寄る機会がないですよね。
「丁蹄作坊」
丁蹄とは、豚のもも肉を煮込んだ料理で「楓涇」の名物の一つ。この博物館では、昔ながらの丁蹄作りの様子を蝋人形が再現してくれています。入り口にはテイクアウト用の丁蹄屋さんがあるのでおみやげにぜひ。650g入りのパックで36元でした。
「三百園」
100のカゴ、100の灯り、100の職業という計300の展示が見られるミニ博物館。興味深いのは一番奥の100職業。農業、漁業、医者など、昔の中国のさまざまな職業が模型で展示されています。中には「殺し屋」なんていうのも……。ちょっと考えさせられてしまいます。
水郷グルメも満喫
敷地内にあるオススメはこの2店。
「唔[口奴]喔哩酒家」
楓涇の地元の方言で「我が家」を意味する名前の人気店。お店の真ん中には、いけすを兼ねた小さな川が流れています。店内に足を踏み入れると、昼間から甘いお酒のにおいが充満していて、おじさんたちが真っ赤な顔で盃を酌み交わしています。地元の人に愛されている人気店なんですよ。名物の丁蹄ももちろんあります。
「阿六焼売店」
小腹が空いたときや、「食事は軽めで」というときにぜひオススメなのがこちら。餃子はなんと一つ4角、名物の肉シュウマイは1せいろ6元という安さ。川沿いのテーブルで味わうことができます。七輪でお湯を沸かしている光景や、店の主人と地元のお年寄りたちのやりとりを眺めているだけでも幸せな気分になってしまうお店。
金山農民画村へ
お腹いっぱいになったナビが次に向かったのは「金山農民画村」。こちらも、「楓涇」の入場券で入ることができます。車で10分ほどで到着。
金山農民画は、その名のとおり金山の農村で発展した文化の一つ。マットでカラフルな色彩、春節の様子や魚採りなどの農村生活の様子、アヒルや牛などの家畜をモチーフにしたかわいらしいタッチの作品です。この「金山農民画村」では、その独特な文化を継承するために村内に画家たちのアトリエを設け、絵画展を開催している場所。有名画家と直接交流したり、絵を習ったりすることもできるんですよ。小さい額の作品なら200元ほどで購入することもできます。
一人の画家が一つの小屋のアトリエを持っています。小屋の周りには野菜などが植えてあって、農村生活がそのまま再現されています。
実はナビ、数年前に一人のベテラン農民画家を訪ねたことがあるのですが、彼の絵柄からてっきり農村の古い家屋でアヒルや豚を飼って暮らしているものと思っていたのです。でも実際に訪ねたアトリエは、近代的なアパートの中にありました。「今は農業をやりながら描いている画家なんていませんよ」と彼。ややショックだったのを覚えています。でも、作られたものだったとしても、本当に農村の中で絵を描いている画家とふれあえる「金山農民画村」は、ちょっぴり夢を与えてくれる場所でもあるのです。
いかがでしたか? 帰国後に「また行きたいな」と思う地は、風景や食べ物を気に入った地であると同時に、いろいろな人と出会った街なのではないでしょうか。ただ見て、歩いて、食べてという旅もいいけれど、実際にそこに暮らす人たちの生活にふれ、交流することができればもっと楽しい旅になるはず。「楓涇」と「金山農民画村」は、そんな旅を実現させてくれる場所なのです。以上、上海ナビがお伝えしました。