上海から車で約2時間、浙江省海寧市の塩官鎮で“天下の奇観”と名高い潮の逆流を観よう!
こんにちは、上海ナビです。
今回は上海ナビのツアー でも楽しむことができる 「銭塘江の逆流現象」 について皆さんにご紹介いたします。ツアーには興味があるけど、そもそもこの逆流って何なの?という方はぜひチェックしてくださいね!
この逆流を見ることができるのは、上海から杭州へ向かう途中に位置する海寧市です。
これは潮の満ち引きと銭塘江河口の独特の地形 (湾への出口側が広く、内側の川幅が狭いラッパのような形状) により発生する現象で、満潮になると河口の狭まった部分に集まった潮が白い逆波を立てながら一気に河上へと押し寄せられていくんです。世界でも十数か所でしか観ることが出来ず “ 天下の奇観 ” とも呼ばれるこの現象ですが、銭塘江では年間を通して見ることができます。潮の高さは通常平均1~2m程度ですが、潮の干満の差が最も大きく水量も多い旧暦8月15日前後だと高さ約3mに及ぶこともあるそうで、毎年この時期には 「国際銭塘江海寧観潮節 (大逆流祭り)」 という観光行事が行われるほど有名なんですよ。
~ツアーではこのポイントで鑑賞します~
現在この逆流を鑑賞するポイントは海寧市の銭塘江沿いに3箇所ありますが、ナビツアーでは 「観潮勝地公園」として整備されている 塩官鎮 へと向かいます。こちらは上海から車で約2時間の場所に位置し、「国際銭江海寧観潮節 (大逆流祭り)」 もここで行われます。
現地に到着すると、公園内への入場券はガイドさんが手配してくれます。この石段の先が堤防沿いの公園地帯になっていますが、波の絵が彫られた石碑に孫文 (1866~1925) の 「世界潮流浩浩 蕩蕩順之則昌 逆之則亡」 という言葉を見つけました。これは、“ 世界発展の波にすばやく乗り、世界と同じ方向に進めば繁栄を迎えることができるが、逆方向に進めば国は滅びる ”、すなわちこの言葉が残された当時の辛亥革命は世界の発展の波に合わせた民主国家の建設に向けたもので、封建社会の旧制度では国が滅びるに違いないという意味が含まれたものだそうです。
堤防の上までやってきました。眼下に広がるのが銭塘江です。現存の堤防は約300年の歴史を持つそうですが、そもそもこの逆流観賞は古くは唐の時代に始まり、宋の時代には既に最盛期を迎えていたという非常に長い伝統のあるものなんですよ。
銭塘江沿いに東西約1360mの規模で広がる公園内には、各所に複数の鑑賞台が用意されています。まるでスタジアムの観戦席のようにひな壇式に建つ鑑賞台には屋根も付いていますが、ナビが行った当日は開放されていない様子でした。
その先にはこんな2層建ての楼閣があり、観光客も記念写真を撮って楽しんでいます。これは 「毛沢東観潮詩碑亭」 で、内部中央には毛沢東の七言絶句 「観潮」 が彫られた石碑が立っています。“ 千里の波が流れ 雪が見物台へと降り注ぐ 兵士と軍馬が勝利を得て帰路に向かう ” という詩は、毛沢東がこの逆流を見て戦時の勢いを思い起こし詠ったものだそうです。
堤防から河沿いとは反対方向に目をやると、2010年上海万博のキャラクター 「海宝 (ハイバオ)」 を発見! その先は何やら建築中の様子ですが、この一帯は、2008年の逆流祭りに間に合うかどうかという日程で建設が進められている 「塩官塔園」 のようです。
この 「塩官塔園」 は明清風情の塔園建築で、明代の万暦40年(1612年)に建てられた江南地方の名塔 「占鳌塔」 の姿を再現したもの。完成後には、ここに文化展覧館や旅行客の接待施設が用意されるそうですよ。
「塩官塔園」 の周辺には鮮やかな黄色が目を引く禅宗寺院もありますが、こちらもまだ新しい雰囲気がします。遠目からでも、中で作業中の人々の姿が見えました。
いったん堤防を降り、堤防の裏手を歩いていると、「白石壇」 という清の第6代皇帝の乾隆帝(1711~1799年)が逆流を鑑賞したという展望台がありました。しかしご覧の通り、このどう見ても新しい展望台は2002年に再建されたもの。展望台を取り囲むように円形の広場が作られ、現在では逆流祭りなどをはじめとするイベントに利用されているそうです。
展望台の上に上ってみました。河沿い間際でなくここからでも、しっかり逆流が楽しめそうですが、やっぱりギリギリ近くまで行って見たい!
~逆流が発生するまで、しばし気長に待ちましょう!~
日によって満潮時間が異なるため逆流のタイミングも変わりますが、ツアーではちゃんと現地情報に詳しいガイドさんが大よその時間を把握しているので安心です。何せ自然が相手なので、「○時○分に逆流がくる予定」との予報でも1時間くらい早く波がやってきてしまうことも…。そういうワケもあり、現地へは当日の波の予想時刻よりも1時間くらいは早く到着することになります。
他の観光客たちも1時間半前には既に到着し、こうして堤防沿いに設けられた仮設の休憩テントでお茶を飲み飲み、ひまわりの種をこれでもか!というほど食べ、トランプに興じながら時間を潰しています。
ここは、覚悟を決めて気長に待ちましょう。しかし、この仮設テントで売られるお菓子やドリンクは他より割高な上、日本人好みのものが少ない…。自分でしっかり暇つぶしアイテムを用意していくことをオススメします!
それにしても、逆流の波はいつやってくるのでしょう?
河は手前から水平線の方向へ向かって、サラサラと流れています。
~ついに、逆流がやってきたぞ!~
“ 逆流待ち時間グッズ ” を何一つ持たず、周辺を十分歩いて疲れたからしばらく休もう…と、堤防に寝転がっていると、遠くから 「来了、来了~! (来たぞ来たぞ)」 と声がしてきました。あわてて起きるも、目の前の河には変化なし。…いや、遠くに何か白いものが!
水平線の方が河口側ですが、水平線の下に白い線が出来ているのが分かりますか?こんな線は先ほどまでの写真にはありませんでしたよね! しかし、この白い線が遠くに見えてもすぐにコチラまで向かってくることなく、ここでさらに約5分ほど待ちました。
とうとう自分たちの場所の近くまで逆流が押し寄せて来ました。堤防近くの波だけ見ていると全体の動きがよく分かりませんが、遠く全体の波の動きを見ると、逆流の波がUの字型に押し寄せてきているのがしっかり見て取れます! 通常の流れは写真の右から左方向ですが、逆流は左から右へと押し寄せています。
すぐ傍の水辺を見ていると、先ほどまで規則正しく流れていた水流が重たく大きくうねっています。この重いうねりに入ったら一体どうなっちゃうんだろう?! と想像しただけで、ちょっとコワいです。そうこうしているうちに、逆流は更に前進して遠のいていきます。
本日の逆流予定時刻は11時50分、実際に白い線が見え始めたのは45分過ぎだったので、今日はほぼ定刻にやってきました。実際に波を楽しんだ時間はおよそ10分程だったと思います。逆流の波が遠のいていくと、みんなサクサク帰り支度を始め、簡易テントも片付けられ始めます。
…以上が 「逆流観賞」 の全貌になります!
本日の逆流は残念ながらそんなに大きな波が立たなかったのですが、1年で最も潮の勢いが強いといわれるのがやはり逆流祭りのある旧暦8月15日頃だそうです。もっとも多くの観光客で賑わう時期でもあるので、時間的にチャンスのある方はぜひぜひご参加を! またこの時期でなくとも、逆流は年間を通して観測できる現象なので、周辺地域の観光に組み合わせてみてくださいね!