純上海流田舎料理の味に思わずほろり。名物料理長がきりもりする有名人御用達の老舗食堂。
こんにちは、上海ナビです。
雑誌やテレビでとり上げられているお店って、有名になったら味が変わってしまった、チェーン展開しすぎでオーナーの顔が見えない店になってしまったなど、なんとなく残念な結果になってしまうお店が多いような気がしませんか? でも、アメリカのCNNが取材に来ようが、日本の旅番組で紹介されようが、オープン以来30年地道に田舎料理を作り続け、内装も変えず、普段と変わらずオーナーが調理場から出てきてお客さんを迎えてくれる、そんなお店があるんです。皆さんもご存知かもしれませんね。そう、「阿山飯店」です。
お店があるのはお馴染み「上海動物園」のすぐ近く。動物園の正門から虹橋路を南側に渡ると、虹井路との交差点右手にお店があります。一瞬、「え! こんなボロい食堂なの!?」と思ってしまうかもしれません。でも、「動物園帰りにでも食べに行こうかな」などと甘い考えで行くと満席で座れない、なんてことに。しっかり予約してから行きましょう。
すべてがミラクルな店
店内はこんな感じです。ことごとく簡素、いや、ボロいというべきかもしれません。夏はちょっぴり冷房が効いていますが、冬場は店内でコートが脱げないはず。
こちらが阿山さん。上海ではちょっとした有名人です。なのにすごく気さくで、お客さん一人ひとりを笑顔で迎えてくれるんですよ。厨房を見せてもらったり、おみやげを包んでもらったり、ナビもいつも親戚に会いに行くような気分でこちらのお店を訪れるんです。
メニューはこちら。テーブルにはメニューは運ばれてこないので、これを見ながら店員さんに注文します。オススメは阿山さんに聞きましょう。ナビが「食べてみたい」と行ったメニューに対し、「それおいしくないから」と却下されることも。メ、メニューに載ってるのに……。
料理を待つ間、お店の中をいろいろ見てまわりました。壁には有名人の写真やサインがずらり!
お馴染みの雑誌にもたっくさん載ってます。
素朴であたたかい上海流田舎料理
実は厨房はほぼ阿山さん一人できりもりしてるんです。料理を作りながら接客もしているので、テーブルに料理が運ばれてくるのは一般のレストランに比べて遅いかもしれません。お母さんが普段家でご飯を用意してくれるくらいの時間がかかるでしょうか。でも、料理を待つこのスローな時間が料理をよりおいしくしてくれるのかもしれません。逆に急いでいる方、ゆったりとした時間が楽しめない方にはオススメできないお店かもしれません。
燻魚(37元)白身魚の燻製です。料理の待ち時間に食べたいさっと出てくる料理。魚なのに豚肉みたいな食べごたえ。料理が来る前にこれでビール一本空けちゃいそうです。
葱油白鶏(38元)ふっくらとした蒸し鶏にネギ油をじわっとしみ込ませた一皿。ジューシーでやわらかい鶏肉がたまりません。これだけのためにまた「阿山飯店」に来たい〜!
阿山猪排(39元)やわらかい豚肉のフリッター。中国醤油につけて、天ぷらみたいにいただきます。阿山さんの名前がついた看板メニューのひとつ。でも限りなく素朴な味。
本地松糕(19元)お餅とカステラの中間のような食感が新鮮なお米の蒸し物。しょっぱい料理のあとに食べると、やさしい甘さに口の中が癒されてしまうはず。
芹菜干絲肉絲(18元)中国セロリと干し豆腐、豚肉の細切り炒め。シャキシャキした食感で美味。阿山さん曰く「今日のセロリは香りが少ないので本当はオススメしたくなかった」とのこと。
咸肉冬瓜湯(25元)豚バラの干し肉と冬瓜のスープ。ボリュームたっぷりの食べるスープです。白濁したスープも濃厚で、何回もお代わりしてしまいました!
阿山飯店のメニューは、仕入れや季節によっても異なります。黒板にぶらさがっている札を見てはじめて出せる料理がわかるシステムなので、今日ナビが食べた料理は読者の皆さんが訪れた際にはないかもしれません。でも、阿山さんにオススメを聞けば、きっとその日にいちばんおいしい料理を出してくれるはずです。
いかがでしたか? インテリアやサービスがなってなくても(失礼!)、料理さえ確かなら食通から芸能人まで、幅広いリピーターを持つことができるという典型例のようなお店「阿山飯店」。でも、阿山さんはもうサラリーマンであればとっくに定年を迎えている年齢です。会うたびに「もうリタイヤしようかな」「後継者が見つからないんだよね」などとこぼす阿山さん。もしかしたら、上海の純粋な田舎料理が食べられるのは今のうちなのかもしれません。
以上、上海ナビがお伝えしました。