オールド上海の熱気が生きているレストラン。浦西の発展の要、静安寺で正統派上海料理を召し上がれ。
こんにちは、上海ナビです。
1920年代の上海、「魔都」「東洋の華」と呼ばれたその時代そのままの、モダンで優美な雰囲気を再現したレストランを今日はご紹介します。店名にある「私蔵菜」とは、「私房菜(我が家の料理)」よりも隠されたお料理のこと。つまり、「本当は教えたくない我が家の秘密の料理」といったところでしょうか。そんな料理が市井のお宅にはいくつもあったと言うことですね。もちろん、上海で元気だったのは市井の人々だけではありません。豫園を筆頭に高級官僚だって住んでいたはずです。そんな人々が日頃食べていた料理は、またがらりと趣が変わります。お醤油とお砂糖たっぷりの市民の味から、高湯(ガオタン)を基本ベースに、あっさり塩味でまとめられた官府料理まで、上海のいろいろな顔が楽しめます。
お店があるのは地下鉄2号線「静安寺」駅から歩いて5分ほどのところです。駅前には久光百貨店と静安寺が並んでいて、静安寺のシンボル・黄金のライオン像が建っています。静安寺の歴史は3世紀までさかのぼれるそう。今も昔と変わらず上海発展の要となっています。
1番出口の一つ(1番出口は3つほど枝分かれしています。一番西側)。上海万博に向けての標語「Better City , Better Life」が掲げられています。ごらんのように、出口付近にある百楽門大酒店は現在改装工事中。(2009年12月現在)
おめでたい雰囲気満点の店内
お店があるのは「1856動漫城」の3階です。動漫はアニメのこと。でも、2009年12月現在、アニメ系のお店は徐家滙に移転しているようです。
「上海1号」には独立した入り口があります。入り口にいるスタッフに人数をつげると、エレベーターに乗るように言われます。専用エレベーターで3階へ。レトロモダンの店内はなぜかとってもおめでたい雰囲気。おめでたいときには「紅(=赤)」が基本の中国人。至るところ真っ赤です。
入り口脇に置かれた花嫁の御輿。こちらで披露宴を行うと、花嫁はこれに乗って登場できるそうです。なるほど、店内がおめでたい雰囲気なのもうなずけます。
上海人も納得の料理がずらり
地元上海人もうならせるお料理の数々をご紹介します。今日はナビの日本の友人がはるばる遊びに来たので、地元上海の友人と一緒に歓迎会。気合い入った友人の歓迎メニューです。
小素鶏(11元)
素鶏はお豆腐の一種です。お醤油で甘じょっばく煮込んだ上海の伝統料理なんですよ。目をつぶって食べてみると、何となく鶏肉のよう?なので名前が素鶏。素は素食の素。ちょうど日本の「がんもどき」みたいなものです。
特色酔膏蟹(168元)酔っぱらい蟹。ワタリガニを老酒で漬け込んだ一品です。蟹を生で食べることって日本ではあまりないのですが、蟹の身ってとっても甘いんだってことがよく分かります。老酒、紹興酒は日本でも有名ですが、上海老酒もとっても有名なんですよ。たっぷり詰まった蟹みそと上海老酒がよく合います。
老醋蛰頭(31元)クラゲの酢の物です。中国のお酢は黒酢が主流なので、日本のお酢より味がまろやかで食べやすいと思います。日本ではクラゲも高級食材ですが、こちらでは海鮮類の中では比較的求めやすい値段になっているような気がします。
老弄堂紅焼肉(27元)こちらの看板メニューの一つ・豚の角煮です。黒光りするこの見た目からは想像できないかもしれませんが、結構さっぱりといただけます。皮付きの豚バラをじっくりじっくり煮込んでいるそう。使われる豚は煮込み料理に開発された猪と豚を掛け合わせた5代目。敷き詰められた肉の下からは、たっぷりと肉汁を吸った梅菜が出てきます。どちらかというとお酒よりご飯が進む気がします。
火山石焼裾翅(78元)溶岩石の鍋に入ったフカヒレスープ。こちらも看板メニューです。30分経ってもまだぐつぐつしているんですよ。たっぷりと入ったフカヒレはとても太くてコリッとした歯ごたえがたまりません。中国に来て良かったなと感動する瞬間です。今回は一人1杯頼みましたが、4人で分けても十分な量だと思われます。少し濃い味なので、ご飯と一緒に食べるとおいしいかもしれません。
生啫四季豆(27元)インゲン豆の炒め物。特製XO醤の辛さと塩分がたまらない1品。でも実は、フカヒレと、蟹でかなりおなかいっぱいだったナビ。それでも結構食べてしまいました。
沙姜焗九孔鮑(21元/個)一口サイズの鮑。トコブシサイズですが、立派な鮑です。たっぷりのにんにくが効いています。
特色蒸鰣魚(217元)上海の歓迎料理の定番です。鱗も食べられると言うこちらのお魚は、日本語ではハスといいます。中国では一般的に歓迎の席で食べる魚は川魚、味は淡泊であればあるほど高級とされるようです。そして最高級に位置するのがこの鰣。川魚特有の臭みがまるでなく、金華ハムと筍でなにげに紅白を演出しています(注:中国では紅白は縁起がいいということではないですが)。高湯でかなり上品に仕上げてあり、いわゆる官府料理にあたります。誰かと食事を一緒にしてこの料理が出てきたら、歓迎されてるなって思ってください。たいてい最後に出てくるので、おなかがいっぱいすぎて食べられないことも多いんですよね……。
いかがでしたか?上海における市井料理と官府料理、どちらもいっぺんに楽しめるレストランなのではないでしょうか。特に最後に紹介した鰣は、ぜひ味わってほしい料理です。これ一品で3〜4人であれば、実際おなかいっぱいになってしまうくらいの量があるのですが、中国での歓迎では、テーブルいっぱいに料理がのり、食べ残すくらいではなければ歓迎したといえないそう。しばしばメインまでたどり着かずに満腹で動けなくなります。そんなときは遠慮せず持って帰りましょう。言葉遊びが大好きな中国人は「魚」と「余」が同じ発音であることをかけて、「魚が家にある=余裕が家にある」となるため、魚料理を包んで持って帰ると非常に喜ばれます。でもできたてをいただくのが一番おいしいのですが。
以上、上海ナビがお伝えしました。