上海を舞台に撮影された林海象監督の日中合作映画クランクアップ記者会見で、“今上海で最も有名な日本人”の彼にも遭遇!
こんにちは、上海ナビです。
2007年9月12日午後8時、上海市静安寺のパラマウント パーティールームに尾上菊之助、稲森いずみ、松方弘樹、斉藤洋介、松岡俊介、宍戸錠という何とも豪華な顔ぶれが大集結しました!
上海で一体何が?!とお思いの方もいらっしゃると思いますが、実は8月20日から9月12日までこちら上海で撮影されていた林海象監督の最新作『コードブレイカー507 上海円舞曲』(2008年秋公開予定)のクランクアップ記者会見がこの会場で行われたんです。
~100人の探偵、100通りのストーリー~
『コードブレイカー507 上海円舞曲』は、林監督が手がける「探偵事務所5」シリーズの最新作で、シリーズでは2作目の劇場版。“林監督×探偵”のタッグと言えば、90年代半ばにカルト的人気を誇ったハードボイルド探偵ドラマシリーズ『私立探偵 濱マイク』が頭に浮かぶという方も多いと思いますが、そんな林監督が2005年から始動させたのが“ネットシネマと劇場映画を連動させて「5」ナンバーの探偵100人を世に送り出す”という斬新なアイデアの探偵プロジェクト、その名も「D-5 PROJECT」なんです。
2006年9月末にスタートしたネットシネマは1話30分完結の構成で、今年3月からは2ndシーズンの配信もスタート。各回とも、個性際立つ実力派俳優たちが500番台の数字で呼ばれる様々な能力を持つ探偵として登場しています! →(「探偵事務所5」公式ホームページ )
~暑さの中乗り切った上海ロケ、皆さんの感想はいかに?!~
今回のストーリーは、尾上菊之助さん演じる暗号解読の才能を持つ探偵507が、上海マフィアに捕らわれている歌姫・美蘭(メイラン=稲森いずみ)を救うため奮闘するというもの。
尾上菊之助さんといえば日本でもこの8月に主演映画『怪談』(中田秀夫監督)が公開されたばかりで、今や歌舞伎界だけでなく舞台や映画でも脚光を浴びる存在!
今回は“現代劇初主演”ということでワイヤーアクションなどにも挑戦し、また新たな魅力を私たちに見せてくれそうです。では、今回撮影を終えての感想を皆さんに語っていただきました。
■ 尾上:
「撮影では中国語の台詞に苦労しました。507は頭脳明晰、暗号解読が得意だが人を信じることが苦手、上海で様々な経験を通じて人を信じることを覚えていきます。自分も同じように、上海で“人を信じる”という暗号をいただきましたが、これは解くのにもう少し時間がかかるかもしれません。」
■ 稲森:
「海外での撮影は今回が初めてで、監督とは10年ぶりに仕事をしましたが(97年林監督の『CAT’S EYE』にも出演)、今回は自分も一緒に映画を作っていくという実感がありました。ずっと演じたかった悪女役ができて嬉しいです。」
■ 松岡:
「林監督は自分のスタイルを貫く素晴らしい監督で、一緒に仕事ができて楽しかった。自分の出番は短い時間でたくさん撮影をし、時間が無い中で時間をかけた良い作品になっているのでぜひ楽しんでください。情報屋役なのでこんな(ラフな)格好ですみません(笑)。」
■ 斉藤:
「8月下旬に上海入りした時は、あまりの暑さに2度と来るものかと思ったが、徐々に涼しくなり、スタッフとも次第に慣れてきて、今思えば楽しい日々を過ごせました。」
尾上さんは、一言一言が丁寧で、さすがは「歌舞伎界のプリンス」と呼ばれるに相応しいオーラ。ダークスーツにインテリ眼鏡、そして数字の事を考えすぎて髪の毛まで渦巻いたという独特のオールバックスタイルがキャラクターを際立たせています。
赤のドレスに身を包んだ稲森さんも、背中に秘密の暗号を入れ墨で持つ上海の歌姫という役柄にマッチしたミステリアスな雰囲気。撮影前には中国語を猛特訓し、今では“上海に住めるかも”という気持ちにすらなってしまったんだそうですよ!
そして、いよいよ大御所のお二方と監督の出番ですが…!宍戸さんは冒頭から「上海にはこんなキレイな記者さんたちが並んでいて、脚が美しくて驚いた!やはり、“上海の女には気をつけろよ!”と言いたい。」と、さすがは名俳優でエンタテイナー、冒頭から会場を沸かせてくれます。
■ 宍戸:
「上海に来るのは今回が3~4回目ですが、来るたびに変わっているのに驚く。来年来たらまた変わっているだろう。東京なんかクソくらえっていうくらい上海は凄いところ。DVDを買わずに、ぜひ(劇場で)見て欲しい。日・中・東南アジアで同時公開するのが夢ですね。」
■ 松方:
「私の役は90歳の宍戸さんの先輩、ということは相当な年齢で、彼は不老不死の薬を飲んでいるに違いない(笑)。上海ロケ3週間のうち最後の1週間に参加したので、涼しくて快適でした。素敵な映画になると思うのでぜひ見てください。」
最後に今回の感想を語った林監督は、2年前に映画祭新人賞の審査員を務めるために上海を訪れて以来、ぜひ上海で映画を撮りたいと思い続けてきたそう。
■ 林監督:
「最近上海には日本の映画がたびたび撮影に来ているが、この映画が初めて日本が本格的に上海で撮った映画、日本の大スターたちが参加した一流キャストの作品です。最初は不安もありましたが、日本と同じく上海にも映画人がいて、日本も上海も同じだと感じました」
今回の監督、ネクタイは「探偵事務所5」に登場する探偵たちと同じく“5”マーク入りのものを着用。1985年のデビュー作『夢見るように眠りたい』の主人公(佐野史郎)も探偵、そして『私立探偵 濱マイク』シリーズから今回の作品に至るまで、永遠の探偵少年とも言える林監督のプロジェクトは配信中のネットシネマと共にぜひチェックしておきたいですね!
~劇中には上海で活躍中の“あの彼”も登場するんです!~
今回の記者会見会場には、今年上半期の上海で最も話題を呼んだ“中国No.1のいい男”を選ぶオーディション番組「加油!好男児」(東方衛視TV)に外国人選手としてただ1人出場し、上海トップ4にまで勝ち残った小松拓也さんも来ていました!
日本では俳優としてドラマや舞台に出演し、2003年には台湾でCDデビューも果たし新人賞まで獲得している小松さんが、全くの新人と同じスタンスで出場したのがこのオーディション番組。小松さんの一生懸命な姿は多くの中国ファンの心にも響き、オーディション番組が終了した今では芸能活動に学業にと、上海を拠点に更なる飛躍へ向けた新生活を始めたばかり。
その素顔は意外なほどシャイで、何事にもひたむきで努力家。上海ナビとしても、応援せずにはいらません!今後の活動から目が離せない小松さんですが、なんと今回の映画でもその姿をキャッチすることができるんです。
(日本語オフィシャルサイト)
(中国語ブログ)
出演シーンは、宍戸さん扮する探偵500が訪れる上海のとあるバー。バーテンダーに扮する小松さんが、暫しのやり取りの後、宍戸さんへと拳銃を渡す…というもの。出演シーンは決して長くはないものの、精神的にも体力的にもハードに過ごした「加油!好男児」での経験をバネに、今や1人の男性としての魅力を格段に倍増させた小松さんの姿は、ぜひ映画館のスクリーンで見たいですね!
ちなみに今回の記者会見場となった「パラマウント パーティールーム」は、1931年に竣工された4階建てのアールデコ建築「パラマウントホール(百楽門大舞台庁)」の2~3階部分です。今年夏にリノベーションされクラブとしてオープンしたばかりで、地元の若者に人気のナイトスポット。稲森さん自身が一番印象に残ると言う“中国語で歌い踊るシーン”も撮影されました。
この歴史ある建物は、上海が“魔都”と呼ばれ最も華やいだ時代を今に伝える数少ない文化遺産でもあり、探偵映画の中にどのように登場しているのかが気になるところです。
~記者会見を終えて~
記者会見はその後も時折宍戸さんの暴走(?)を挟みつつも、終始和やかなムードで終了。ナビ個人の観点から中国での映画事情を語ると、残念なことに海賊版DVDが主流の中国では、日本と比べて映画鑑賞の価値が、本来映画の持つクオリティーより低く扱われている気すら感じるのが現状です。しかし、今回こうしてお話を伺える機会に遭遇し、やっぱり映画は、いや、日本映画はこれからもどんどん面白いぞ!と大いにインスパイアされました。
映画は2008年秋公開予定ということで、それまでは暫しネットムービーを楽しもうじゃありませんか。シリーズものの鉄則、予習&復習で本番に備えましょう。
今回の記者会見レポートは以上ですが、明日も引き続きナビの新ネタをお楽しみに!
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記事登録日:2007-09-24